アンダーマイニング効果とは? ~報酬をもらうとやる気が下がる~

自分のしたことを評価されて報酬をもらうのは嬉しいものです。また、頑張れば報酬が増額すると言われればやる気も出るというものです。

ところが、逆に、報酬をもらうとやる気が下がる場合があります。特別に変な性格の人の話ではありませんよ。

例えばボランティアです。無償の人助けだと思ってやっていたのに、報酬が出る、と言われたら、何だか、純粋さや行為の尊さが目減りするような気がするでしょう。

好きだから、楽しいから、先が見たいからなどの、強制や報酬によらない自発的な動機で行っていることに、報酬を与えるなどの、行為自体以外の動機づけをすると、やる気(モチベーション)が下がってしまうことがあります。

このような心理をアンダーマイニング効果またはアンダーマイニング現象といいます。

報酬がやる気を下げる

アンダーマイニングは、「弱体化させる」「台無しにする」などの意で、アンダーマイニング効果は、抑制効果あるいは過正当化効果ともいいます

強制しなくても自発的に勉強している子どもに、勉強時間や成績に応じたお金ををあげるのは内発的動機、つまりやる気をを低下させることがあります。お金をもらえるという期待がないと、学習しなくなる場合があるのです。

これはアメリカのある学校で実際に起こったことの例です。
生徒たちに読書の習慣を付けさせようと、本を一冊読むごとにお金をあげることにしました。すると、生徒たちは厚みの薄い本ばかり読むようになりました。
お金をあげたことは読書意欲を高めることはなく、却って読書の目的が、読書自体の楽しさではなく、お金をもらうことに置き換わってしまったのです。

ただ、いつもどんな報酬も逆効果かというと、そんなことはありません。

例えば褒めること、賞讃することは、やる気を引き上げるでしょう。これはエンハンシング効果またはエンハンシング現象と呼ばれます。
つまりアンダーマイニング効果は、自発的な内容に対して外的動機を与えることが逆効果に繋がる場合があるということなのです。

このアンダーマイニング効果は、学習現場やスポーツ選手のメンタル管理を行う際などにも起こらないように注意されているような内容になります。

外発的動機と内発的動機

人のやる気には大きく分けて二種類あります。

「外発的動機」と「内発的動機」です。

外発的動機

「外発的動機」は頑張ることで物質的な報酬や評価を得ようとする意欲のことです。
褒められたり、ご褒美を与えられたり、強制されたりすることでもたらされます。

総じて外発的動機は、「受動的なやる気」とも言えます。

内発的動機

「内発的動機」は行為自体に価値を感じて頑張ろうとする意欲のことです。
面白さや楽しさ、好奇心、充実感、達成感などがこれに当たります。

ボランティアのように、人の役に立つ、自然を守る、正しいことをする、というのも内発的動機です。
そういう立派なものばかりではなく、自分の優秀さにうっとりする、なんていうのも内発的動機に入ります。

総じて内発的動機は、「能動的なやる気」といえます。

内発的動機の有効性

一般的に内発的動機の方が持続的で集中力が高く、効率も高くなり、良い結果を生みやすいと言われています。

報酬などが目的の外発的動機で取り組み始めたことは、ある種いやいや行っている部分があるかもしれません。
しかし、内発的動機に基づく行為は自発的な取り組みであるため、効率や創意工夫の面でよい結果を生みやすくなるのです。

よくスポーツなどで「楽しい」という感情が上達に繋がるようなことをコーチの方や一流選手が口にすることがあります。
実際の練習は非常に過酷であるにもかかわらずそのような発言が出るのは、内発的動機によって練習を行っているからということになります。
そこに結果が伴うことでますます「楽しい」と感じるようになるいい循環が生まれているのです。

これが評価や報酬のための外発的動機だけで始めたスポーツだと練習の過酷さで長続きせず結果も出せないかもしれませんね。

内発的動機が外発的動機に置き換わることも・・・

しかし、内発的動機は簡単に外発的動機に置き換わってしまう場合があります。

読書の例のように、物理的報酬を与えられると、その後はもう報酬なしで作業するのが馬鹿馬鹿しくなってしまうのです。

報酬が目的で出たやる気は、報酬がなくなると消えてしまいます。それでけでなく、元々あった自発的なやる気までも消してしまう恐れがあるということです。

例えば、お母さんの手助けをしたくて風呂掃除や食器洗いをしている子供がいるとします。
それを嬉しく思った親御さんはお小遣いを渡すようになりました。
すると、次第にお小遣いをもらわないと家事を手伝わなくなってしまうといったケースがあるのです。

特に子供は、自発的な行動に対して、過剰な褒め言葉やご褒美を与えられると、そればかりに目が向いてしまいます。報酬のために行動したり、報酬がないと行動しなくなったりしやすい傾向があるのです。
その結果、行動に対する集中力、行動の効率や継続性が低下し、自発性も見せなくなります。達成感や充実感を得るという純粋な自発性による行動が、いつのまにか報酬目当てに代わってしまうのです。
そして、報酬に対する要求ばかりが高まり、報酬が得られないとやる気をなくして、さらに自発性がなくなります。つまり子供のために良かれと思ってした行動が、逆効果になるわけです。

まとめ

報酬を与えることがいつも悪いわけではありません。褒めたり、褒美を与えたりすることが、やる気を向上させる場合も多いのは御存じでしょう。

大事なのは、本人の自発性、内発的動機を削がないようにすることです。

アンダーマイニング効果を出させてしまい、自発的なやる気を削がないようにうまくコントロールしてあげると良いでしょう。

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