スリーパー効果とは?~情報源は誰?~

情報の信頼性は、発信源によって大きく左右されます。

信頼性の高い発信源とは

  • 自分で体験したこと
  • 当事者に直接確認したこと
  • ある程度発行部数がある新聞
  • 専門家の署名記事
  • 専門誌など

です。

逆に信頼性が低い情報源は

  • 噂話
  • ゴシップ週刊誌
  • 発信者が特定できないインターネットの記事など

です。

信頼性の高い発信源からの情報は、確かな情報になります。しかし、興味がない内容だと時間とともに忘れてしまったりしますよね。

スリーパー効果とは、信頼性の低い発信源から得られた情報であっても、時間の経過とともにそのマイナスの効果が消えていき、その情報を信じる気になってくる現象です。興味のある分野だとなんとなく嘘っぽい情報を信じてしまうのはスリーパー効果の影響と言うわけです。

メッセージの発信者を忘れる

第2次世界大戦中にアメリカで行われた、思想の宣伝(プロパガンダ)の話として以下のようなものがあります。

アメリカ軍は自国の兵士向けに「Why We Fight (我々はなぜ戦うのか)」と題した戦争の宣伝映画を見せて、兵士たちの愛国心や士気を高めようとしました。ところが、この映画は戦争の宣伝映画であることがあからさまで、見せられた兵士たちは、映画のメッセージを素直に受け入れませんでした。

ところが、この検証から9週間ほど経つと、映画を見せられた兵士たちは、見せられなかった兵士たちよりも戦争に対する支持を高め、任務遂行に努力するようになったのです。つまり、この映画は、時間はかかりましたが、思想宣伝として効果があったのです。

最初に映画を見せられたときには、映画の狙いが見え透いていたので、兵士たちはちょっとしらけてしまったのでしょう。兵士たちは、別に戦争に反対していたわけではなくとも、軍のやり方の稚拙さに、馬鹿にする気持ちや反発を感じたということもあるでしょう。

しかし、9週間の時間が経つうちに、兵士たちは映画の細かいところは忘れてしまい、製作主体がどこだったかということも記憶に紛れてしまいました。そして、映画のメッセージだけが、兵士たちの心に残ったのです。

メッセージの発信源は忘れても、メッセージの内容は忘れなかったということになります。これがスリーパー効果です。情報源の信頼性が忘れられてしまうことを眠りにたとえて、スリーパー効果と名付けられました。居眠り効果や仮眠効果とも呼ばれます。

スリーパー効果の実証実験

スリーパー効果はアメリカの心理学者カール・ホブランドによって提唱されました。ホブランドらの行った実験があります。

当時、抗生物質の使用には賛否双方の意見がありました。そこで、賛成の立場の学生には否定的な記事、反対の立場の学生には肯定的な記事を読ませました。つまり、自分とは逆の意見の記事を読ませたわけです。そしてグループを2つに分け、一方には信頼性の高い「医学専門雑誌」に掲載された記事だと説明し、もう一方には「大衆雑誌」に掲載された記事であると説明しました。

結果は「医学専門雑誌に掲載された記事」として説明された学生は23%が意見を変えたのに対し、「大衆雑誌に掲載された記事」と説明された学生は7%弱しか意見を変えませんでした。
しかし、1か月ほど後に意見を変えたかどうかを確認したところ、「大衆雑誌」の記事と説明されていた学生の方が多くも意見を変えていたのです。

スリーパー効果が有効になるまでにかかる期間

情報源の信頼性が忘れられてしまうのは約1か月ほどと言われています。信頼度が低い情報源は1か月の間に少しずつ信用度が上がっていくことが分かっています。信頼性の低い場合ばかりではなく、はじめは信頼性が高い情報源も次第に信用度が下がります。どちらも信頼性の評価が消えて、中立的な評価になるわけです。

例えば、実績のない新入社員が説得するのと、経験豊富な上司が説得するのでは、当然、上司が信頼されます。しかし、上司の説得が1回だけならば、1か月ほどでその効果は薄れます。ですから、新入社員はすぐに相手を説得しようとするのではなく、1か月くらいの時間をかけてじっくりと説明するのが良いということになります。

スリーパー効果の悪用とその対処

スリーパー効果は、戦後、アメリカの選挙活動において悪用されたことがあります。ある政党が、選挙の前に、対抗する政党を誹謗中傷するようなメッセージを発したのです。人々は、いつもの政党同士のののしり合いだなと聞き流していましたが、数週間経つとメッセージを誰が発したかは忘れ去られ、そのネガティブキャンペーンの内容だけが残ったのです。実際にある程度の効果はあったといわれます。

心理学者の示すスリーパー効果への対処法がいくつかあります。まず、不必要な情報は受け取らないようにして、そういう怪しい印象操作から身を遠ざける。そして、誰がその情報を発したのかを記憶しておくように努めること。しかし、インターネット社会ではいずれも忘れがちです。私たちはインターネットを流れる膨大な情報の奔流に翻弄されているからです。

インターネット社会とスリーパー効果

SNSなどで誤った情報が拡散し、やがてスリーパー効果によって、人々が信じてしまうということは、既に起こっています。勘違いか意図的にか、ある事件と全く関係ない人が、犯人や犯人の家族のように言われて、それを信じた人たちから炎上などの攻撃を受ける、ということが時々起こっています。スリーパー効果で人々を誤解させて、偏った考えに誘導する悪意ある動きもあります。

間違った情報に乗せられて、間違った行動を起こす前に一度立ち止まり、発信者は誰か、客観的な根拠はあるか、確かめてみましょう。ネットの検索機能を使えば、それも容易なはずです。

まとめ

スリーパー効果とは、時間が経つと誰から得た情報かを忘れ、情報の信頼度が変化することです。

悪意をもって利用する人もいるので、不確かな情報はしっかり情報源を確認するなど常日頃から気をつけていきましょう。

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