初頭効果を使って出会いのチャンスを次につなげる

初頭効果とは「最初に知った情報が、後に知った情報に影響を与える」という心理効果です。

人間関係で言えば「第一印象が大切」ということになります。

何だ当たり前じゃないか、と思われるかも知れませんが、出会って最初の印象づくりで失敗する、というのは良く聞く話ですし、自分自身の体験で覚えのある人も少なくないでしょう。

そして、困ったことに、一度定着してしまった先入観はなかなか変わらないために、印象の改善は簡単にはできないのです。

最も極端な例は、親が子供をいつまでも子供扱いすることでしょう。
もう中年で、立派な仕事もしているのに「だってお前、私の膝の上でおしっこ漏らしたじゃないの」なんていつまでも言う親がいるのは、決して悪気があるわけでも、記憶が止まっているわけでもありません。
ただ、頭の中の印象が最初の頃(育児をしていた時代)からなかなか変わらないだけなのですが・・・、こんなことが起こってしまう心の仕組みはどうなっているのでしょうか。

初頭効果はどんなもの?

初頭効果は「物事は最初の印象が強く心に残る」と言い換えることもできます。出会って最初の6秒の印象が、後の印象に長く影響を与えるという説もあるほどです。

この初頭効果を生み出す要素としては、大きく分けると、「対面での初頭効果」と「言葉での初頭効果」の2種類があります。

対面での初頭効果

対面での初頭効果とは、直接出会ったときの印象によるものです。見た目とか、喋り方、仕草、などから感じたことによって印象が形成されるわけです。しかし「この部分が好き!でも、こういう所は嫌い!」などと瞬時にハッキリと意識されるわけではなく、自分でもわからないうちに「何となく全体的に」良い印象を持ったり悪い印象を持ったりする場合が多いのです。そのため、好印象を持ってもらおうと、ある一部分だけを意識的に変えてもなかなか印象UPにはつながりにくく、複数の要素を網羅的に意識して初めて効果が分かるようになるかもしれないだけに、印象力の向上には総合力UPが必須になります。

言葉での初頭効果

一方、対象と直接出会わずに、言葉によって初頭効果が生ずる場合もあります。よく言われる「良い噂、悪い噂」の類もそうですが、相反する両方の内容の噂を聞いても、良い噂を先に聞くと良い印象が残り、悪い噂を先に聞くと悪い印象が残る、ということも良くあります。しかし、これもまた他人の噂をコントロールすることは難しいだけに、自分の印象を意図的に操作するのは難しいと言えるかもしれません。

初頭効果を確かめる実験

初頭効果に関する最も有名な実験は、1946年に行われた、アメリカの心理学者ソロモン・アッシュによるものです。アッシュは実験社会心理学の開拓者のひとりで、人間の社会的行動、特に人間の印象がどのように形成されるかの研究をしました。

この実験では、被験者を2つのグループに分け、同じ1人の人物の特徴を列挙した言葉をそれぞれのグループで次のように順番を変えて伝えました。

(1) 知的、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い
(2) 嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的

見ればわかるように上記の2つは、同じ内容の順番を変えただけのものです。ところが(2)の順番で特徴を伝えたグループの評価は圧倒的に悪くなったのです。つまり、「知的、勤勉」といった肯定的な言葉を先に聞くとその人の印象は良くなり、「嫉妬深い、頑固」といった否定的な言葉を先に聞くとその人の印象が悪くなったのです。

大事なのは最初? それとも最後?

初頭効果の効果が証明される一方で、それに対する反対意見として誰でも一度は思うのは「後で知った情報の方が強く記憶に残るはずだ」というものです。そのような心理効果も確かにあって「親近効果」と呼ばれています。え!?どっちも正しいなら一体どっちの効果が優勢なの?と言いたくなりますが、これはその人の性格や対象との関係によって変わってきます。

自分の判断力に自信がある鋭いタイプの人は、最初の印象ですぐに結論を出してしまい、それを変えない傾向があります。逆に判断することに慎重で吟味に時間をかける用心深いタイプの人は、新しい情報が強く印象に残る傾向があるのです。

また、対象に対して最初から強い関心を持っている人は、最後の情報に強い印象を受け、対象に関する関心が薄い人は、最初の情報が印象の良し悪しを左右する、という傾向があります。ですから、関心の薄い人に興味を持って貰うためには、やはり第一印象を大事にしなければならない、ということです。

ビジネスの場面での初頭効果

例えばプレゼンテーションの場面で、聴衆の関心があまり高くないと予想されるときには、初頭効果を利用して、第一印象で惹き付けることを考えましょう。注意するべきなのは、発表する商品や企画がいくら良いものだと自信があっても、理論的な説明ばかりを最初にしないことです。キャッチコピーのようなものやイラストなどを使って、全体的なビジョンや効果を、イントロ部分でやや感覚的にイメージしてもらうことが大事でしょう。

優れた機能や効果があっても、理屈で説明されると、なかなかピンとこないものです。最初に感覚的に良い印象を持ってもらえれば、理論的な解説も最後まで聞いてもらえるでしょう。

人間関係の場面での初頭効果

上司、同僚、取引先などの仕事関係ばかりでなく、地域、趣味、ママ友などの小規模コミュニティでも第一印象は大事です。最初の出会いを印象良く心掛けることは当然ですが、注意しなければならないのは、印象を良くしようと力むあまり、しぐさや表情、声のトーンなどが大袈裟になり、押し付けがましい感じになってしまいがちだということです。「ほら、私って、こんなに素敵でしょう」これでは逆効果です。

相手に不快感を与えないように感じ良くすることが最も大切でしょう。まずは不潔感、粗暴感、だらしなさなどを感じさせないように注意するだけでも十分です。

恋愛に関しても、基本的には同じですが、その他の場面と違って「自分が異性からどう見えているか」が重要です。そして、それがわかっていない人がしばしば居ます。できれば、異性の知り合いから、アドバイスをもらいましょう。

まとめ

もしかすると、最初の印象さえ良くしてしまえば、あとは全て上手くいくはず!・・・と淡い期待をされていた方には物足りない結論になってしまったかもしれませんが、それでも、初頭効果が働くことは決して少なくありません。

仕事で新しい企画や商品の売り込みをする、趣味などで自分の好きなものを他の誰かにも好きになってもらいたい、そして何より、初めて出会った人や自分のことを良く知らない人に、好印象を持ってもらいたい。そういう時は、まず初頭効果を意識して第一印象を良いものにしましょう。

少なくとも、第一印象が悪くなければ、その後の話や交渉に上手くつなげられるのは間違いないですからね。

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