親近効果とは?~終わり良ければ全て良し~

親近効果とは、一番新しい記憶、つまり最後の印象が強く残ることをいいます。

まぎらわしいのですが、家族や身近な人への親しみを表す「親近」ではありません。距離の近さではなく時間の近さです。人間の脳は、一度に沢山のことを覚えるのは苦手ですから、途中の部分は忘れがちで、最後に見聞きしたことが強く記憶に残るわけです。

何かを判断しようとする時、例えば商談で相手と契約するか否か、面接で応募者を採用するか否か、という時、最後の印象、言い換えると、判断の直前の印象が大きく影響する、ということです。自分が売り込む立場の場合、最後の挨拶や去り際の態度が重要になります。

でも、反対に第一印象が大事という話もよく聞きます。どっちが本当なのでしょうか?

親近効果と初頭効果

親近効果とは逆に、第一印象が強烈だと、その対象に対する評価を決定付けてしまう心理を、初頭効果といいます。親近効果と初頭効果は、場合によって影響力が違います。

自分の判断力に自信があってすぐに結論を出す人は、第一印象で判断してそれを変えない傾向があります。このような人には初頭効果が効果的です。

逆に、すぐに判断しない慎重な人は最後の情報に影響されやすいところがあります。このような人には親近効果が効果的だといえるでしょう。

また、対象に対して関心が薄い人は、最後まで真剣に話を聞かなかったりしますから、何かを売り込むなら、第一印象で興味を持ってもらわなければなりません。つまり、初頭効果を重視して、良い印象を持たれる情報を先に出してしまう方が良いのです。

逆に、すでに対象に高い関心がある人に対しては、丁寧に説明して、最後にセールスポイントをだめ押しするのが良いでしょう。つまり、親近効果を重視して、相手の決断の背中を押すようにするのです。

つまり、初頭効果と親近効果のどちらが優れているというわけでなく、どちらもうまく活用していかなければならないということです。
ビジネスにせよ、恋愛にせよ、何かを売り込もうと思ったら、相手の性格や関心の度合を事前にリサーチしておかないといけませんね。

親近効果の実証実験

アメリカの心理学者N・H・アンダーソンは、1976年に模擬裁判の実験を行いました。親近効果はこの実験結果から提唱されたものです。

被験者は模擬裁判で陪審員の役をします。そして証言の出し方でどのように結論が変化するかを観察しました。
弁護側、検察側ともに6つずつの証言を用意し、さまざまな順番で提示した結果、いずれも陪審員は最後に証言した側に有利な結論を出しました。

この実験から、人は多くの情報を与えられたとき、最後に得た情報に影響されやすいということがわかりました。

心理学者のニスベットとウィルソンは、ストッキングを使った実験を行いました。テーブルの上に全く同じストッキングを4つ並べ、被験者に好きなものを選ばせるという実験です。
結果は、ストッキングはどれも同じものであるにもかかわらず、右端のものを選ぶ人が最も多かったのです。これは人の視線が左から右に流れる傾向があるため、一番最後に見た右側のものが最も印象に残ったと考えられています。

親近効果を有効に活用するには

一番単純な方法で、誰でもほぼ無意識にやっているのは、商品の売り込みでも自己紹介でも、良い情報は最後に持って来る、という方法です。充分な準備ができるときはもちろん、時間がないときでも、述べなければならない項目を箇条書きにして、一番良い情報を最後に置くようにしましょう。

一般に、初頭効果よりも親近効果の方が効果の持続が短いといわれます。一番新しい記憶が強いのですから、さらに新しい記憶が上書きされると薄れてしまう理屈です。ですから、親近効果は、一度で決定的な結果を出すというより、気になる相手との関係を継続・発展させるための次につなげる布石と考えると良いでしょう。

重要なのは、感覚的に良い印象を残すことです。別れ際に「楽しい」とか「感じが良い」と思ってもらうと良いでしょう。そうすると「また会っても良い」「もっと話してみたい」と思ってもらえるものです。
注意しなければならないのは、強引に約束を取り付けようとしないことです。一度だけのことならともかく、継続的に付き合いたいと思う場合には、しばしば逆効果になります。

恋愛の場合

好意を持っている異性の近くに居るときに限って、緊張してしまって巧く話せないという人は多いでしょう。グループで居るときには他の人の話に口を挟めず、二人きりになったらなおのこと言葉が出ない、何て経験もありますよね。こういう心理学のコラムを読んでも「その通りにできれば苦労はない」なんて溜め息をついたり。

「ああ、今日も巧く話せなかった」と思ったときは、後でメールをしておきましょう。気の利いたことを書かなくても良いのです。「ありがとう、楽しかった」だけでも。それでもし相手から良い反応があったら、次回会ったときには、別れ際にプレゼントをしてみてはどうでしょう。大袈裟なものではなく、お菓子でも良いし、あなたのお気に入りの本やCDなど、ささやかなものがよいでしょう。親近効果を使って別れ際の印象を浴しておくことが継続のカギになります。

まとめ

親近効果とは、最後の印象が一番強く残る効果のことです。

例えばデメリット付きの商品を紹介する場合など、先にデメリットを述べてから、それを打ち消すメリットを最後に提示してあげるほうがより商品にいいイメージを持たれるでしょう。

近しい効果である初頭効果(最初の印象が大事)と親近効果をうまく使うことで自分自身も、商品などもよりよく見せることが可能です。

うまく活用してみて下さいね。

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