ゲインロス効果とは?~ギャップが人の印象を良くする~

最初は悪い人に見えたけど、実は良い人だった。これは、最初から良い人とわかっている場合よりも、落差が大きい分、良い印象が強くなります。これがゲインロス効果です。

ゲイン(得る)とロス(失う)の落差、という意味です。もちろん、逆も同様で、良い人だと思っていたのに悪い人とわかった、という場合、印象は格段に悪くなります。

映画などでよく使われる演出技法なので、現実の世界で応用しようとする人も多いのですが、演出過多になるとボロが出やすいので注意を要します。仕事であれ恋愛であれ、落差が大きいほどゲインロス効果は大きいわけですが、大きすぎれば「仕掛けられた演出」だと見透かされてしまいますし、場合によっては滑稽になって恥をかきます。巧く使うにはどうすれば良いでしょう。

ゲインロス効果ってどんなもの?

ゲインロス効果とは、「人の心理において、プラスとマイナスの変化量が大きいほど人の心に深く影響を与える効果」のことです。

言い換えると「最初にマイナスの印象を与えておいてから、そのあとでプラスの印象を与えたほうが、相手により大きな好印象を与えることができる」という心理効果のことです。

  • 馬鹿だと思っていたら実は利口
  • 軟弱だと思っていたら実は意志強固
  • 普段は優柔不断だがいざというときは決断力がある

といったパターンです。最初から優れているとわかっているよりも、意外にも……という方が印象が鮮やかになります。
「ツンデレ」などのいわゆる「ギャップ萌え」は、ゲインロス効果の典型でしょう。

ゲインロス効果の実証実験

ゲインロス効果を確かめる実験をしたのは、アメリカの心理学者エィオット・アロンソンとダーウィン・リンダーです。被験者はミネソタ大学の女子学生たちでした。まず、被験者の女子学生は、男性と1対1で面談を行い、面談の後、男性からの評価を聞かされました。評価は、-10~+10の数値で表されます。同じ女生徒と男性の組合わせで、面談と評価は数回繰り返されます。
実は男性はすべてサクラで、評価の点数は最初から決まっており、数回の面談での評価は、変化の仕方が四種類ありました。

(1)高評化→高評化
(2)低評価→低評価
(3)高評化→低評価
(4)低評価→高評化
の4つです。

女子学生の印象はというと、低評価から高評化へと変化したパターンが最も良かったのです。点数の合計は、高評化→高評化の方が高いにもかかわらず。評価の全体量よりも、変化量に強く反応したということです。こうして、ゲインロス効果は確かめられました。

歌舞伎の「もどり」

ゲインロス効果は、映画や小説の演出でもよく利用されます。意外な人物が実は……というパターンです。これを極端に形式化した例が歌舞伎の「もどり」です。大変な悪人として演技していた人物が物語の終盤になって死ぬ間際に、実は自分は主人公を守るためとか主家への忠誠のためとか、理由があって悪人の振りをして、敵も味方も騙していたのだ、と告白しながら死んでいきます。

代表的なものは「義経千本桜・すしや」のいがみの権太です。前半は極悪人で、ゆすりたかりで金儲けをする無頼漢。最後には、かくまっていた平維盛の妻と子供を敵に引き渡してしまいます。怒った父親に権太は刺されますが、ここで初めて、主家を救うために妻とわが子を身代りに立てたと打ち明けます。

究極のゲインロス効果演出といえるでしょう。

ゲインロス効果を現実に応用するには

ゲインロス効果は感覚的に非常にわかりやすいので、安易に応用して好印象を得ようとする人が時々居ますが、注意が必要です。

演出過多のためにバレてしまったくらいなら笑い話ですみますが、最初にやった「感じ悪い演技」の効果があり過ぎて、逆転する前に相手の心が離れてしまうリスクがあります。

巧くいったと思ったら後になってバレてしまった、というのはもっと悲惨で、プラスからマイナスへの逆のゲインロス効果が起こって、実際以上に低く評価されてしまうかも知れません。

大掛かりな仕掛けをして人の心を操作しようとするより、普段は肩の力を抜いておいて、ここ一番、というときに頑張りを見せる、というのが良いでしょう。逆に言うと、普段からあまり無理をして頑張り過ぎていると、肝心なときに息切れしてしまうかも知れません。機会を捕えてゲインロス効果を得ようと思ったら、普段は少し余裕を持った方が良いでしょう。

恋愛に応用するなら、普段とちょっと違う面を見せてみる、という方法があります。例えば、あなたが女性で、普段は活発な印象を持たれているとしたら、デートのときには、穏やかで可愛い面を強調してみる、などです。あまり無理をしなければ、意図的な演出だとバレても、印象は悪くなりません。むしろ男性は「自分のために頑張ってくれている」と思うかも知れません。

まとめ

策を弄して自分の印象を良くしようと思っても、なかなか巧くいきません。

巧くいっても、今度は演技を続けるのが大変で疲れてしまいます。

ゲインロス効果を期待するなら「機会を捕えて実力を見せる」ことを心掛けましょう。

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