フォールス・コンセンサス効果とは?

自分が読んで面白かった本を知り合いに勧めたら、あんまり面白くなかった、と言われてびっくりした。好きなお菓子をみんなに分けたら迷惑そうな顔をされてしまった。そんな経験、ありませんか。

みんなが自分と同じように思うはず、と思い込むことをフォールス・コンセンサス効果といいます。これは、親しい間柄であればあるほど強くなるといわれています。

フォールス・コンセンサス効果は日本語では、偽の合意効果あるいは総意誤認効果といいます。人は他の人々も自分と同じように考えていると、良く確かめもせずに、つい考えてしまうことです。統計資料などの客観的データが充分でないとき「みんな自分のように思っているに違いない」と思い込んでしまいます。人は自分の意見・信念・好みが実際よりも一般の多くの人と同じだと思い込む傾向があるのです。

特定の集団におけるフォールス・コンセンサス効果

このフォールス・コンセンサス効果はグループで議論したときによく発生します。特定の集団の中で合意すると、より一般的なもっと大きな集団、大衆とか、市民とか、日本人とかでも同じだろうと、何となく思ってしまうのです。集団のメンバーが外部の人に、そのことに対してアンケートなどの調査や議論をしていないと、ついついそう信じ込んでしまいます。

あとから、統計資料などでそうじゃないという客観的な証拠を見せられても、事実を歪めて捕え、その資料の方が間違えていると思うことすらあります。おかしい、そんなはずはないと思うので、何か勘違いしているのではないかとか、統計の取り方や処理の仕方がおかしいのではないかと思ったりするのです。

集団で物事を討議するときに、参加者にこのようなフォールス・コンセンサス効果が起こると、適切な判断が下せなくなります。参加者は、とくにリーダーはこのリスクに注意し、外部のより大きな集団については、憶測で判断せず、客観的な資料に基づくようにしなければなりません。

フォールス・コンセンサス効果の実証実験

米国の心理学者ロスは、次のような実験をもとにフォールス・コンセンサス効果を提唱しました。

ロスは、学生にサンドイッチマンの格好をしてキャンパスを歩き回るよう依頼しました。そして、それを承知した学生と断った学生に分けて次の質問をしてみました。「同じことを、別の学生に頼んだら承知してくれると思うか?」。承知した学生は「承知してくれると思う」が6割、「思わない」が4割でした。それに対して断った学生は「思わない」が7割で「思う」が3割だったのです。自分の考えが標準的だと思う人が多いということです。

フォールス・コンセンサス効果が働く仕組みは案外複雑で、これが原因、というものは特定できませんが、大きな理由は2つあります。

1つには、自分には自分の考えが一番わかりやすく、納得がいくので、無意識に他人にもそれを投影してしまうということがあります。普通はこう思うだろう、と思ってしまうのです。

もう1つには、自分は多数派だと思うと、何となく安心する、と心理的な働きです。

親しい人ほどフォールス・コンセンサス効果が出てしまう

親しい人ほど、自分と同じように思っているに違いないと考えてしまいがちです。それで、家族や、友人と気まずくなったりします。「良かれと思ってやったことが、相手にとって迷惑だった」というような有難迷惑の例、ありますよね。

恋人同士の場合は、相手が自分と同じでないと、何だか間違っているような気がすることもあります。自分が思っていることと、相手が思っていることは、いくら親しい間柄でも違うことがあります。当たり前のことですが、意外と忘れてしまうことでもあります。

こんなに親しいのだからわかり合っていて当然と思わずに、相手を気づかいましょう。

仕事や趣味に関わるフォールス・コンセンサス効果

仕事や趣味の集団でも、周りは自分と同じ意見のはずと思って、物事を判断してしまうと、思わぬ間違いを起こすことがあります。特に、権限の大きい役職についている人や、指導的立場の人は注意が必要です。部下や生徒も自分と同じ意見に違いないと勝手に思って何かの決定をしてしまうと、あとから反感を買ったりチームワークを乱したりする場合があります。

投資の場面でも、フォールス・コンセンサス効果はよく起こるようです。「今が最高値だと思って売ったらまだまだ上がった」逆に「ここが底だろうと思って買ったら下がり続けた」というのは良く聞く話です。自分が売り時と思ったときには、他の人もそう思うと考えてしまうのです。

前述した通り、小さな集団がより大きな集団のことを推測するときには、思い込みが強くなりがちですから、特に注意しましょう。専門家は、自分たちに取っての常識が一般的な常識とずれているということを忘れがちです。それで、特殊な専門用語を一般的な言葉だと思い込んで何の説明もなしに使ってしまうことがしばしばあります。

趣味の集団なら笑い話ですみますが、仕事でこれをやると、ビジネスチャンスを失することにもなりかねません。自分たちにとっては当たり前のことでも、顧客には知らないことや、わからないことかもしれないので、注意しなければならないのです。

フォールス・コンセンサス効果を防ぐには

直接本人に確かめたり、統計などの客観的資料を用意することで、間違った思い込みは防ぐことができます。当たり前のことなのですが、フォールス・コンセンサス効果が起こってしまうと「誰もがそう思っているのが当然」と思い込んでしまうので、「確認のため客観的資料を用意する」こと自体を思い付きません。それができれば「絶対当ると思った企画の空振り」や「思いも寄らぬものが流行する」なんてことは起こらないのです。

フォールス・コンセンサス効果を予防するには、「当たり前と思っていることでも確認する」癖を付けることが大切です。

まとめ

ネット社会では、自分と同じ意見、自分の気に入る意見だけを拾い出して、他を無視してしまうことが簡単にできます。

そういうことをしていると、強力なフォールス・コンセンサス効果が起こって「この意見こそが、標準であり、常識であり、民主的な正義だ」という強い強い思い込みが起こる場合があります。広く多様な意見を見て客観的に判断するように心がけていきましょう。

関連記事一覧