カリギュラ効果とは?~禁止されるほどやってみたくなる~

昔話の「鶴の恩返し」では、決して見てはいけない、と言われた機織りを覗いて悲劇が起きます。物語の展開上、覗き見をしなければ先へ進まず、謎も解けないということもありますが、見るなと言われるほど、禁止を破りたくなる気持ちもわかりますよね。こういう気持ちは全世界共通らしく、似た民話が世界中にあり、文化人類学ではそれらを「見るなのタブー」というジャンルにまとめているほどです。

カリギュラ効果とは、このような禁止されるほどやってみたくなる心理をいいます。

語源は、1980年のアメリカ・イタリア合作映画『カリギュラ』です。この映画は過激な内容のため、ボストンなどの一部地域で公開禁止になりましたが、そのために却って世間の話題になってしまったことに由来します。

禁止されるとやりたくなる

カリギュラ効果は学術的な用語ではなく、日本でしか通用しません。心理学の用語でいうと、反発・抵抗を意味する「心理的リアクタンス」の一種ということになります。

するなといわれるとしたくなる、という経験をしたことがない人は居ないでしょう。

人は自由を阻害されることを嫌がるものなので、禁止することは逆に好奇心を刺激し、ストレスになるのです。悪いことをしているときの独特のドキドキする興奮には、ちょっと抗い難いところがあります。

もしも、カリギュラ効果に普遍性があるなら、禁止することは常に逆効果、となってしまいます。実際、あまり口うるさく注意すると、相手の反発を招くことはしばしばあります。しかし、禁止する理由が明らかになっていれば、好奇心を刺激しませんからストレスは小さくなるので、禁止するときには頭ごなしに「するな」というのではなく、なぜいけないかを説明しましょう。

例えばアメリカのテレビ番組で「道端の塀の穴の横に「覗くな」と書いた貼り紙をしておく」とどうなるかという実験を行ったそうです。その結果、通りがかり貼り紙に気付いた人はほぼ全て穴を覗いたそうです。この場合、理由もなく覗くなと禁止されたためにカリギュラ効果が働いたと考えられるでしょう。逆に、しっかりとした理由があって覗くなと書かれていれば、理性が働いて覗く人も減るのではないかと考えられます。例えば、猛犬注意!と一緒に「覗くな」と書かれた紙が貼ってあれば、犬に警戒して見る人は減るでしょう。

メディアにおけるカリギュラ効果

雑誌の袋とじは典型的なカリギュラ効果を狙ったものです。見えないと見たくなる心理を利用して購買意欲を煽るのに利用しているのです。

テレビでも、画面の一部を隠したり、モザイクにしたり、音声の一部を消したりして、視聴者の注意を引く技法は頻繁に使用されます。もっとも、隠されていたものが明かされたときに「なあんだ」というようなものが多く、慣れてしまって効果が低くなっているようです。CM前に正体を隠しておいてCMをまたいで番組をつなぐのは、カリギュラ効果を利用してチャンネルを変えられないようにし、CMを見てもらうためでもあります。

カリギュラ効果はなかなか強力ですが、当然ながら何でもかんでも禁止しては効果は薄れます。使う場面を考えて「一番興味を持ってもらいたいところ」を引き立たせることが重要です。

恋愛のカリギュラ効果

例えば「不倫はいけないもの」とわかっていても、困難であるほど燃え上がってしまうという例があります。これもカリギュラ効果です。悲劇で有名な「ロミオとジュリエット」もまさに典型例といえるでしょう。

異性が振り向いてくれないときは猛烈なアプローチを繰り返していたのに、相手がこちらに好意を持ったら覚めてしまった、なんて話も聞きますね。これもカリギュラ効果が働いている例になります。相手が振り向いてくれないからこそ情熱が燃えるわけです。

これを応用すれば「相手の関心を引くために、自分からは関心がない振りをする」という方法も考えられます。しかしこれは高等テクニックなため、かなりの観察力と演技力が必要です。

また、既に恋愛中なら、あんまり焼き餅焼きで、恋人が浮気をしないかと心配ばかりしていると、逆効果ということになります。

日常のカリギュラ効果

「誰にも言わないでね」「ここだけの話だけど」と言って話したのに、翌日には皆が知っていた、というのはよくある話です。

これは、「喋るな」と釘を刺したことが却ってカリギュラ効果を起こしてしまったのです。

体を壊しているのにお酒が止められないお父さんがいるとします。家族が心配して「止めろ止めろ」といっているうちは止められなかったのに、皆が諦めて何も言わなくなったらぴたりと止められた。なんていうことがあります。これは主には「見捨てられるのではないか」という不安感によるものですが、カリギュラ効果による部分も大きいでしょう。

インターネットで問題になりながらも、一向に消える様子がない「炎上」という現象も、一般に「褒められたことではない」あるいははっきり「反社会的、反道徳的」と言われていることが、逆に、やりたくなる気持ちを刺激している部分があるでしょう。「ちょっと悪いことをしている」ことに快感があるわけです。

しかし、多くの人は理性でブレーキをかけるためカリギュラ効果によって「やってはいけないこと」を実行には移しません。少数の人が誘惑に負け、それを誇示するからこそ「炎上」に繋がっているのです。

まとめ

広告や集客などのビジネスから、日常生活でもさまざまな場面でカリギュラ効果は利用することが出来ます。

あえて禁止することで相手の好奇心を刺激する手法なので誰でも比較的簡単に行うことが出来ます。

しかし、安易に利用するとその効果も薄れていくでしょう。

どういう場面で利用すると効果的かを考えて、うまく利用すると良いでしょう。

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