ブーメラン効果を上手く回避して相手を動かす

ブーメラン効果と聞くと、いかにも投げたものが戻ってきそうな、そんなイメージがあるかと思いますが、一言で言えば「説得すると反発されてしまうという心理効果」です。

あまりに当たり前と感じるかもしれませんが、

誰かを説得しようとした時に、説得した内容と相手が「逆の行動をとってしまう」という所がポイントです。

このブーメラン効果の誰もが共感できそうな分かりやすい事例が、子供の頃経験するこのシーン。

親「宿題やったの?早くやりなさい!」

子供「え!今やろうと思ってたのに・・・。やる気なくした。」

というような「あるある」なやり取りです。

これ、子供としてはホントにそろそろやろうかなと思った絶妙のタイミングで親は声をかけてきます。

結果、やる気の芽を摘んでしまうのですが、そのタイミングの話はさておき、この「やりなさい!」と言われれば言われるほど「やりたくなくなる」というのがまさにブーメラン効果。

説得 「やりなさい」 ─────┐
相手「やりたくない」 ←────┘

ブーメランと言うと、投げると手元に返ってくるオーストラリアのアボリジニーが使っていた伝統的な道具ですが、ブーメランを投げた方向と、最終的に向かってくる方向が正反対という所がこの効果を表しています。

もちろん、日常のコミュニケーションでは、相手が自分の意向に沿って動いてくれる方が助かるわけですから、このブーメラン効果を回避しながら相手にお願いしていく必要があるわけですよね。

では、どうして人は説得に対してこのブーメラン効果のような反応をしてしまうのでしょうか?

ブーメラン効果が生じる理由

人間は、基本的に自分の行動は自由に自分の意志で決めたいと考えています。

そのため、他の人から行動を決められると、自由が奪われた、自分の意思を制限されたと脳が判断し、生理的に反発したいという意識が働いてしまうのです。

いわゆる「心理的リアクタンス」という自由を制限されそうな場面になると思わず反発してしまうという人間の習性の一種になります。

この反応の怖い所は、仮にその説得の内容が、元々相手が考えていた内容と同じ方向性のものであっても、最終的な判断を他人に決められたと感じるとやはり反発されてしまう事があります。先ほどの子供が勉強しなさいと言われたシーンなどはそのパターンですね。もしその子にやる気があったとしても、やっぱりやりたくないと、いきなり態度をひるがえす事もあるのです。

勉強だけでなく、親が子供に色々なものを食べさせたいと思って「〇〇ちゃん、サラダも食べたら?お肉ばっかり先に食べないで!野菜も食べなさい!」などというと、本人は後で野菜を食べようと思っていても、好きなものを食べるという自由を奪われたと判断して反発してしまったりします。

他にも、子供にここは行っちゃダメよ!とか、これは触っちゃダメ!とか言われると、その行為がしたくなってしまう、ということはありませんでしたか?大人になってからも、これ他の人には言っちゃダメだから・・・と言われたことをついつい喋っている人、意外といると思いますが、これも、ある種逆に動いてしまうパターンですね(秘密を喋りたくなってしまう心理的な影響もありますが・・・)。

ブーメラン効果を上手く利用する

では、どうすればこのブーメラン効果の反発を起こさせずに、こちらの意図通りに動いてもらうことが出来るのでしょうか?

まず大切なのは、「相手に決定させる」という事です。

こちらからやりなさい!と、いわゆる上から目線で相手を説得しようとすると反発されるのはもうお分かりですよね。

ならば、下から・・・となりそうですが、「これやっていただけますでしょうか?」というのも、おかしな話。

そこで、「〇〇の話があるんだけど嫌じゃなければやってみない?」というような、誘いながらも拒否する選択肢を残した聞き方をするのは有効と言えるでしょう。

また、ブーメラン効果を逆手にとって、本来動かしたい方向と逆の方向に説得してみるのも一つの手段です。「やれ!」と言われると反発したくなるなら「やるな!」と言われても反発はしたくなるわけですね。ですから、「絶対やるな!」まではいかずとも、「まあ〇〇出来るなら(←求めている方向)、やらなくてもいいんじゃない?(←選択肢を与えている)」という言い方は有効です。

ただ、もしも、ブーメラン効果が働かず、「宿題やりたくないならやるな!」と言ったものの「え!?ホント?ラッキー!!」なんてことになったら悲惨ですから、言い方は重要です。

例えば、「みんなは結構テスト勉強しているみたいだけど、テストで点数取る自信あるならやらなくてもいいんじゃない?」・・・みたいなちょっと回りくどくはなりますが、後ろめたさを感じさせるような言い方は必要かもしれません。

社会人であれば「この町内全部回って営業してこい!」と言うより、「地道に訪問営業するのがいいと思うけど、他で結果出せる自信あるなら別にやらなくてもいいんじゃない?」みたいな感じで、あくまで求めているのは〇〇という事。ただ、そこに向かうアプローチは自分で決めても良いよ、というスタンスだと無理やりやらせる感は薄れて反発は少ないかもしれません。

恋愛でブーメラン効果を利用する

恋愛でよく言われるフレーズに、「愛されるより愛したい」なんていう言葉がありますが、一般的には、愛される方がモテているわけだし、いいんじゃないかなぁなんて思ってしまいますよね。

ところが、ここでもブーメラン効果が働くと、他人から愛されて付き合ったりするよりも、自分の意志で付き合いたいと思ったりするわけです。

ですから、相手から「好きです!」「愛してる!」を連発されると、逆効果になることもあるんですね。

もちろん、お互いに大好きな状態であれば何も問題はないのですが、これが、まだ片方だけ気持ちが高まっている状態では、ブーメラン効果のブロックにあう可能性があります。

そんな時に参考になるのは「北風と太陽」の話。

旅人のコートをどちらが脱がせられるかという勝負を北風と太陽が繰り広げるわけですが、北風は強い風を吹き付けるばかりで、むしろかたくなにコートを押さえて脱がせることなんてできません。

逆に太陽は、ポカポカと暖かい陽気を注いで、自然とコートを脱がせることに成功しました。

・・・という押しても「ダメなら引いてみな!」の格言を伝えるためのストーリーですが、ブーメラン効果を避ける上でもこの考えは必要かもしれません。

あまりに、強く迫ると相手は態度をかたくなにしますから、そういう時は一歩引いてみて、逆に関心なさそうなそぶりを見せるのも効果的と言われます。

このあたりは全部バランスですから、一つずつ相手の反応を見ながら経験を重ねていくしかないのですが、あまりに一方的にアプローチを続けるとストーカー扱いされて気持ち悪い対象になってしまいますから、ぜひ一歩引いて、相手に選択の自由を与えるという余裕を意識したいですね。

まとめ

人は知らず知らずのうちに反発してしまうというブーメラン効果についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

部下や子供の反抗的な態度にイライラすることもあるかもしれませんが、それはこちらの伝え方が自然と反発を招く言い方だったのかもしれません。

伝え方を変えるだけで、スムーズに指示やお願いが聞いてもらえる可能性も高くなりますので、ぜひブーメラン効果を踏まえながら、反発されない伝え方を心掛けてみてくださいね!

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