アンカリング効果

アンカリング効果を使ってパフォーマンスをあげてみよう!

「ヒトを自分の思った方向に上手く誘導できればいいのに・・・」

というのは、人間関係、セールスなど、いろんな場面で思うことだと思います。

 

そんな時に、有効なものとして「アンカリング効果」というものがあります。

 

アンカリング効果とは、最初に何らかの情報を与えることで、意思決定に影響を与えるというテクニックの事を指します。

さながら船の錨(アンカー)のように心に情報を打ち込むことで、その後の状況に影響を与えるというものになります。

 

同時に、このアンカリング効果を自分にかけることも有効です。

 

  • 集中力を発揮したい
  • 緊張やストレスにさらされている中でも最高のパフォーマンスを発揮したい時
  • 自信を持ちたい時

 

こういうときにアンカリング効果は非常に役に立ちます。

 

アンカリング効果を他の人に使う例としては、マーケティングの世界などで消費者を一定の方向に誘導する手段として利用されています。

 

これから、このアンカリング効果について具体的に説明していくと同時に、どうやって活用していくかを見ていきましょう!

アンカリング効果とは?

アンカリング効果とは、先ほど述べたとおり

最初に何らかの情報を与え、それをアンカーとして相手の心に刻むことで、その後の意思決定に影響を与えようというテクニック

のことをいいます。

 

非常に単純な話ですが、ヒトは意外と「最初に提示された情報」に大きく影響を受けるのです。

これは条件反射にも近い所がありますので、上手く使えばその効果は絶大です。逆に、自分も日頃そのアンカリング効果の影響を受けていないか注意していないと、知らない間に誘導されている危険もあるわけです。一方で、アンカリング効果を上手く自分に施すことで、自分自身を導きたい方向へ誘導することも出来るのです。

 

このアンカリングの語源は、アンカー=船の錨(いかり)から来ています。

アンカーは海の底に沈めることによって船が一定の範囲以外から動かないようにするものです。

これが転じて人間相手にもアンカーを使うことで、一定の範疇の反応を引き出すことが出来る手法として使われるようになりました。

 

マーケティングの世界でアンカリング効果というと、最初に示された情報(数字や金額、特徴など)が強く印象に残り、その後の判断に影響を及ぼす効果として使われています。

 

例えば、正しい答えでなくても良いので、以下の計算の答えを想像してみて下さい。

問題①
8×7×6×5×4×3×2×1=??

どの位の数字になるでしょうか?

そして、次に、こちらの計算をしてみてください。

問題②
1×2×3×4×5×6×7×8=??

冷静に考えるとどちらも同じ答えになるのはわかると思います。(ちなみに正解は40320です)

 

しかし、2002年のノーベル経済学賞を受賞したダニエ=カーネマン氏がこの実験をした時に興味深い結果になりました。

雰囲気で「このぐらい」と回答された答えが、前者の答えの平均は2000を超え、後者の答えの平均は500程度だったのです。

 

これは、最初に意識する数字(=アンカリングされる数字)が8×7なのか、1×2なのかによる違いと言えます。

最初に目にする数字が大きいほど、その後の掛け算で増えていく数が多くなりそうだという人間心理が働いているのです。

 

日常生活で見かける例としては次のようなものがあります。

「通常価格30万円の最高級マッサージチェアが、今回限り19万8千円!」というテレビショッピングなどでの値引き価格です。

 

これは、最初に通常30万円という価格を見せる(アンカリングする)ことで、19万8千円が一瞬安く感じられるという効果を狙ったものになります。本来19万8千円自体は決して安くはないのですが、30万円という価値を先に出しているため、それを安く買える=お得という印象をから購買意欲をかき立てることができるのです。

 

これが、もし最初から19万8千円の価格しか提示しなかった場合、その商品自体の「機能」や「効果」「デザイン」などといった商品スペックと価格の比較をしながら購入するかどうかを検討することになります。しかし、事前に通常価格30万円!とアンカリングされていると、いつの間にか、この商品は「30万円の価値がある」と無意識に思い込んでしまうのです。

 

不思議なのですが、「今日だけ安いですよ!」というメッセージを刷り込まれると、何故か買わなきゃ損だと思ってしまう傾向があるのが人間の悲しい性。その結果、買うつもりのなかった商品を、いつの間にか前から欲しかったかのように自分を納得させ、気づけば注文のダイヤルをプッシュしている・・・なんて人もいるのではないでしょうか?

 

もちろん価格をしっかり検討した上で購入する人もいますので万人に適用できるわけではありません。

しかしアンカリング効果は非常に強力な力を持っています。

 

何でも二重価格で表示されると、消費者が過剰に購買意欲をあおられてしまうため、キチンと法律で二重価格表示の規制が行われています。

つまり、法律で制限する必要があるほど「値引き前価格のアンカリングは強力」だという事です。

アンカリングで最高のパフォーマンスを発揮する

アンカリング効果は、心理学の分野では、上手く自分を導くことにも利用されています。

 

例えば、スポーツ選手が緊張した状態でも最高のパフォーマンスを発揮するためにもアンカリング効果が使われているのです。

 

 

野球で有名なイチロー選手は決まったルーティンでバッターボックスに入ってバットを構えます。

 

あれはまさに自分が常に最高のパフォーマンスを発揮できるように誘導するためのアンカリングです。

 

あのバットを前方に突き出して、そこからクルっと回転させて構えに入る動き全てが、常に一定の自分を作り出すスイッチになっているのです。

 

 

ゴルフでもトッププロはスイングの前に一定の決まったルーティンを持っていて、それを行うことで常に同じスイング、同じストロークが出来るように自分をアンカリングしているのです。そうでなければ、優勝のかかるパットで緊張してしまい、パターを握る手が震えてしまうかもしれません。男子の場合入れれば4000万、外せば半額、というような賞金差がありますから、緊張して当たり前の場面です。そんな状況下でも、同じ動作を行うことで、同じ結果が得られると日ごろから体にしみ込ませておく=(アンカリングしておく)ことで、極度のプレッシャーの中でも真っすぐパット出来るようになるのです。

 

これらのアンカリングを自分に上手く活用しようと思えば、どんな「刺激」と「反応」をセットにすれば良いか考える必要があります。

「刺激A」を与える⇒ 「反応B」が自動的に起こる。

この形が出来れば、Bという状態を引き出したい時に、Aという刺激(動作などのスイッチ)を与えれば、自然とBが生じる事になります。

 

では、この刺激Aと反応Bをどう設定すれば良いのか考えてみましょう。

自分の中にアンカリングを作る

自分にアンカリングを作るには、まず、得たい反応を考える所からスタートします。

 

例えば、燃えるような気持ちになってモチベーションがMAXの状態!という反応を得たいとしてみましょう。

 

【1】

まず、過去にモチベーションが高まった事例や、燃えるような感情が沸き上がった瞬間の事を思い出します。

目を閉じてその瞬間の事をありありとイメージしてみましょう。その瞬間の場所、周りにいる人、シチュエーション、見えるもの、聞こえるもの、感じるもの、色々と思い出しながら、その当時の燃えるような感情が沸き上がってくるまで続けます。

 

【2】

そして、その感情である程度まで満たされてきた時に、ある一定の姿勢や動作(これが刺激になる部分)をとります。胸に人差し指を当てるもよし、額を親指の先端で押さえるもよし。その動作は何でも構いませんが、普段何気なく行う動作とは少し変えて、意識的にやらないと出てこない動作の方が有効です。(ただし、複雑すぎるのも忘れてしまうので、すぐにできるものにすることが大切です。)

 

【3】

その後、感情がピークを越えて落ちてきたら、その動作を一旦やめてリラックスして深呼吸してください。

同時に感情も一度リセットして冷めていくような感じになって大丈夫です。

 

【4】

それから、再び、感情が沸き上がるイメージをもって、また気持ちが出来上がってきたら先ほどと同じ動作を行ないます。そして、またリセット・・・を何度か繰り返していきます。

 

【5】

すると、だんだん、刺激Aに設定した動作をするだけで、Bに設定した感情が沸き上がってくるようになってきます。これが出来ればアンカリングの完成です。

 

これらのアンカリングは、動作だけでなく、何か特定のモノを触るとか、特別な言葉をつぶやく、音楽を聴くなど、刺激として成立するものであれば設定可能です。

アンカリングの例
仕事に集中するためのアンカリングを作るとします。
【1】まず、一旦大きく背伸びをして体をほぐします。
【2】みっつ数えたあと、「よし!」の一声を発生します(アンカリング)
【3】ゆっくりと深呼吸した後、仕事を開始する。
これは例ですが、このようなルーティンを繰り返すことで、この手順で「よし!」と言ったあとは「仕事をするんだ」ということを覚えさせていくというのが大切なのです。

何度か試してみないと最初は上手く出来ないかもしれませんが、筋トレや運動と同じでやれば誰でも出来るモノですので、ぜひ試してみて下さい!

まとめ

アンカリングは、他人にも、自分にも、上手く使えば、一定の方向へ誘導できる強力な心理テクニックです。

 

特に、自分に活用できるようになると、なりたい自分に瞬間的にコントロールできるようになりますので、練習してみる価値は十分にあります。

 

身に着けると強力な武器になるアンカリングは、自分を高める手段として非常に有効です。

 

ぜひアンカリングを自分の人生の武器にして活用してみて下さいね。

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